2010-07-08

私は不潔だった




前歯のせいで、一生が狂った。

小学生の私は不潔だった。
髪は月に一回、床屋さんで洗う事だったし、
歯なんて磨いた記憶が無い。
年に一回、学校の診断書をもって歯医者に行けばいい。と、思ってた。

そして、その時が来た。
歯医者が前歯の虫歯を治療し忘れた。
母親が、治療費が思ったより安かったと、
靴を買ってくれた。

カガミを見る習慣がないから、気づかない。
そのうち、激痛。
同じ歯医者に行ったら、なぜもっと早く、
来なかったのかと叱られた。

それは始まりっだった。
12歳で、前歯が一本差し歯に成った。
さすがにショックを受け、歯を磨くようになる。

16歳の時、差し歯からばい菌が入り、歯肉炎になる。
慢性になり、医者が気づいたときは、膿みが歯を溶かし、
ソコが病巣に成っていた。

私の周りに8人ぐらい来ての大手術。
歯茎をめくり、歯の根っこを、ノミと木槌で削り取る。

カンカンとんとん。
カンカンとんとん。

麻酔を何本も打ったが、利かなくて、最後には「我慢しろ!」。
看護婦はみんな泣き始めるしまつ。
当然私の目からは涙が止まらない。

強烈な痛みがリズムのように体に入ってくると、体に変化が起こる。
痛みを欲しがるのだ。医者が休憩?か何かで、手を休めると、
木槌のリズムで体が反応する。さあ来い、どんどん来いと体が叫ぶ。
脳の中で+ーゼロみたいな事してるんだろうか。

人生であれほどの痛みを、今の所、味わってない。
しかし、病巣全摘出はできなかった。
それすると、歯が抜ける、と。

20歳、この間も、定期的に膿みは貯まっていた。
とくに、徹夜。
一晩で次の日激痛。
歯医者通勤3ヶ月の3万出費。

この頃、この土台は30歳までもたないね。」と言われる。
恐怖のあまり、しばらく歯抜けの夢を何度も見る。

徹夜禁止。疲れる事禁止。
仕事も遊びもだ。


これが、だらけ人生の幕開けでもある。